北方領土に関する各種資料
外務省 われらの北方領土 2010年版より抜粋
北方領土の返還実現に向けて

 我が国固有の領土である択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の北方領土には戦前約一万七千人の同胞が住んでいました。国後、択捉両島の面積は、それぞれ大阪府、鳥取県の面積とほぼ同じであり、北方領土全体の面積は沖縄県の約二倍、福岡県、千葉県、愛知県に比肩する大きさです。また、これらの島々の付近は、千島寒流と対島暖流が交錯し、古くから世界の三大漁場の一つに数えられてきました。我々日本国民が先祖から受け継いできた土地である北方領土の返還は、昔これらの島々に住んでいた人たちや漁業関係者だけでなく、日本国民全ての問題です。

 北方領土の返還が日本国民の一致した要求であることは、累次にわたり国会において北方領土返還を求める決議が行われ、あるいは、今まで全国47都道府県の全議会や多くの市町村議会で同様の決議が既に採択されていることからも明らかなところです。2005年2月には、衆議院において「日露修好150周年に当たり、日露関係の飛躍的発展に関する決議」が、また同年3月には、参議院において「日露通好150周年に当たり日露関係の飛躍的発展に関する決議」が全会一致で採択されました。これに対して、小泉総理は、これらの決議を受けた国会における所信表明において、我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、もって両国関係を飛躍的に発展させるべく、引き続き最大限の努力を払っていく考えである旨表明しました。北方領土返還に対する全国国民各層の関心の高まりは、北方領土復帰実現に関する請願の署名数が、2010年11月現在で8,190万人に上っていること、また、1987年の島根県における県民会議の結成をもって全都道府県に、民間のイニシアティブにより、北方領土返還のための県民会議が設立されたことからも明らかです。2008年11月に発表された「北方領土問題に関する特別世論調査」の結果でも、98%の方が北方領土問題について聞いたことがあると回答しています。こうした国民の一致した要求を背景に、政府は一九八一年一月の閣議において、二月七日を「北方領土の日」と決定しましたが、一九八一年以来、毎年二月七日には「北方領土の日」関連の記念行事が全国各地で開催されており、2010年にも、東京で全国大会が開かれたほか、全国各地で「北方領土の日」の記念行事が行われました。

 2月7日を「北方領土の日」としたのは、1855年2月7日の日魯通好条約の調印日にちなんだものですが、既に述べたとおり、同条約は、日露両国が国交を開くに際し、平和的話合いの結果、両国の国境を択捉島とウルップ島との間にすることを定めたものであり、北方四島が日本国有の領土であることを両国が初めて正式に確認した歴史的な意義を有する条約です。

 また、1982年8月には、北方領土問題等解決促進特別措置法が成立し、北方領土に隣接する根室地域の振興など返還運動の支援のための基盤が一層充実されました。北方領土返還を求める国民世論は一層の盛り上がりを示していますが、1981年9月に鈴木総理が、また2001年に森総理がヘリコプターで空から北方領土の視察を行ったほか、2004年9月には小泉総理が現職の総理として初めて洋上から北方領土の視察を行いました。

 また、交渉当事者である外相の現地視察を是非とも実現してほしいとの地元のかねてからの要望に応え、国交回復後20年に当たる1976年9月に、宮澤外相が、現職の外相として初めて根室を訪れて洋上から北方領土を視察しました。その後、園田外相(1979年9月)、伊東外相(1980年10月)、櫻内外相(1982年8月)、安倍外相(1983年8月)、宇野外相(1988年4月)、川口外相(2002年8月)、中曽根外相(2009年8月)、岡田外相(2010年3月)が、また2010年12月には前原外相が根室を訪れ、同地から北方領土の現地視察を行いました。このような総理及び外相の北方領土視察は、北方四島の帰属に関する問題を解決して平和条約を早期に締結するという政府の不動の姿勢と不退転の決意を、改めて内外に表明するものでした。

 領土問題の解決には、長い忍耐が必要なことは過去の歴史が示すところです。北方領土返還運動は、全国的な運動として発展し、かつ定着しつつありますが、北方領土の返還の実現という国民の悲願が達成されるまで、この運動を若い世代に引き継いでいく必要があります。そのためには、何よりもまず学校教育が重要ですが、最近、北海道を中心に小中学生用の副読本・映像資料が普及されつつあることは喜ばしいことであり、全ての学校において、副読本を利用して、北方領土問題をより深く学習することが期待されています

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