北方領土に関する各種資料
外務省 われらの北方領土 2010年版より抜粋
むすび

 1945年にソ連が北方四島を不法に占拠して以来、1956年の日ソ共同宣言に基づき日ソ間に外交関係が回復された後も、長い間にわたり、ソ連は領土問題の存在すら認めなかった時期がありました。しかし、ソ連崩壊後、新生ロシアは、第二次世界大戦における戦勝国、敗戦国の区別にこだわることなく、領土問題を「法と正義」に基づいて解決するという立場を示すようになりました。93年の東京宣言は、領土問題を北方四島の帰属に関する問題であると位置付けるとともに、領土問題を、歴史的・法的事実に立脚し、両国の合意の上作成された諸文書及び「法と正義」の原則を基礎として解決するとして平和条約交渉に関する明確な交渉指針を示したものとして、平和条約交渉の原点ともいうべき文書で、今後の交渉もこの東京宣言に基づいて行われていくことが必要です。

 一方、ロシア政府は、2006年8月に、北方四島のインフラ整備や水産部門の発展等を目的とする「『2007年から2015年までのクリル諸島社会・経済発展』連邦特別プログラム」を承認し、北方四島の開発に力を入れ始め、近年、実際にロシア側において北方四島のインフラ整備等が進んでいます。また、近年ロシア政府は、北方領土問題をめぐり、「第二次世界大戦の結果として両国間に形成され国連憲章でも確認された客観的に存在している領土の現実」なる独自の主張を行い、自らの北方四島占拠の事実を正当化しようとする動きが見られるようになっています。

 しかしながら、北方領土問題は日露両国政府が対話を通じて解決しなければならない最大の懸案であることには変わりはありません。同時に、日露両国は大変重要な隣国であり、特に、経済協力はロシアのみならず、日本の企業、ひいては日本にとって裨益するものであり、いわゆるウィン・ウィンの関係を築ける分野です。また、アジア太平洋地域における戦略環境が変わりつつある中、ロシアがこの地域への統合の動きを見せつつあるとともに自国の近代化を進めています。このような中、あらゆる分野において関係を発展させ、アジア太平洋におけるパートナーとしてふさわしい関係を構築することは、両国の戦略的利益に合致します。そのような関係を構築するためにも、北方四島の帰属に関する問題を解決して平和条約を締結することが不可欠です。

 以上のような観点から、政府としては、今後も政治対話の機会をとらえ、領土問題の最終的解決に向けて具体的進展を図るべく、強い意思をもってロシアとの交渉を行っていく考えです。

 政府がロシアとの交渉を強力に推進するためには、国民の一人一人の理解と協力が不可欠です。そのためにも北方領土返還に対する国民の総意をますます強固なものとし、これを明確に表明し続けなければならないと考えます。

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